少し前にBSで、放送されていた韓国ドラマ「バリでの出来事」(制作年度2004年)で気になるシーンがあった。
(なにしろ一瞬のことなので、正確ではないかも。いずれにしろ、アントニオ・グラムシの、獄中ノート「現代の君主」関係の著作。日本では著作集は絶版。)
ドラマの内容と本の内容は関係があるとは思われない。その映像、字幕が、唐突に一瞬流れた。
それに籠められた強いメッセージがあるのだろうか? いま、韓国はどうなっているのだろう、そう思わずにはいられなかった。
ちなみに、番組案内によると、このドラマは韓国では平均視聴率30%を記録したという。(末尾に掲載)
1976年に出版された「韓国の経済」(隅谷三喜男著、岩波新書)を、当時、読んで、その経済成長の光と影、低賃金、経済的「従属」、危機迫る経済といった状況を知って暗い気持ちになったことを覚えている。
それから、随分と年月が経った。しかし、最近というか、ドラマを見たのと同じ時期のメルマガの「大前研一一ニュースの視点」(2008/10/10 #231)で次のような指摘を目にした。
「欧州にも増して厳しい局面を迎えているのが、韓国とロシア
だと思います。
韓国について私は何度も指摘していますが、韓国経済
そのものが痛んでいます。見かけ上は順調に見えても、
実体経済が伴っていないのです。
皮肉なことですが、こうした私の指摘がようやく認知される
形になり、10月2日、韓国ウォンは前日比36.5ウォン安の
1ドル1223.5ウォンまで下落しました。
年初には1ドル900ウォンから950ウォンの水準だった
わけですから、この9ヶ月で25%近く急落したことになります。
目下のところ、ウォン下落の歯止めがかからない状態です。
この状態は、考え方によっては97〜98年の韓国危機の時
よりもさらに深刻な事態だと言えると思います。」
いま、韓国はどうなっているのだろう?
そして、日本は?
非正規雇用労働者が全体の3分の1にまで達するという。そのほとんどは正規雇用労働者の半分どころか3分の1以下、5分の1程度の低劣な賃金、労働条件で働いているのではないか。そして、いま、世界的な不況の嵐を受け始めている。
どうして、このようになったのか?
このような日本の社会を作ったのは誰なのだろう?
そして、どう、解決していったらいいのか?
「バリでの出来事」のヒロイン、スジョンや、その他の登場人物が、翻弄される世界の中で見る夢は、私たちの夢でもあるように思う。
(資料)
「チョ・インソン、ソ・ジソブが大ブレイクした伝説のドラマ「バリでの出来事」。バリで偶然出会ってしまった4人の男女が繰り広げる泥沼の愛を描いたこのドラマは、“1度見たら必ずハマる”と言われ、韓国では“バリラバー”と呼ばれる熱狂的ファンをも生み出した話題の作品だ。チョ・インソン演じるわがまま御曹司ジェミンと、ソ・ジソブ演じる貧しい好青年イヌクとの間で心揺れる貧しいヒロイン、スジョン(ハ・ジウォン)。視聴者は彼女のとる行動に毎回ヤキモキし、韓国ではインターネット上でジェミン派、イヌク派の論争が湧き起こったほどだ。平均視聴率も30%を記録。意外な愛の終焉に多くのファンが絶句し、衝撃的ラストシーンはいまだ伝説となっている。またこの作品で、チョ・インソンとハ・ジウォンは、韓国の数ある大賞の中で最も権威のある百想芸術大賞のTVドラマ部門演技大賞を受賞し、人気のみならず、その実力をも高く評価された。」(韓国ドラマ「バリでの出来事」TBSチャンネルオリジナルバージョン |ドラマ・時代劇 番組詳細情報 | TBS CS[TBSチャンネル])
(追記)
ハ・ジウォンが出るというので、たまに観ていただけで知らなかったが、7話と8話で、「階級は中世にだけあるんじゃない。持てるもののヘゲモニーが我々の目と口をふさぐ、そのイデオロギーの中で幸せだというのなら仕方ないが。」とか語るシーンが出てくるとのこと。イヌクの愛読書は「グラムシの獄中ノート」と「グラムシのヘゲモニー論」で、さらに、イヌクはスジョンにグラムシの「獄中ノート」を読むとよく寝れるよといって貸したとのこと! イオクは、私が観た範囲内では、労働運動をすることもない、孤独な青年だったけれど、内容との関係はあったのだ。んーん。
(H2O)
0 件のコメント:
コメントを投稿